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AI時代、子どもが憧れる「ITの仕事」はどう変わる?

2026年、男子中学生の「将来なりたい職業」1位は「ITエンジニア・プログラマー」でした。子どもたちのIT職への憧れは確実に強まっています。

その一方で、生成AIの普及によって、ITの仕事の中身は大きく変わりはじめています。子どもが思い描く「エンジニア像」と、実際の仕事の姿は、少しずつずれてきているのかもしれません。

この記事では、各種調査をもとに次の4点を整理します。

  • 子どもたちはITの仕事にどれくらい憧れているのか
  • これまでのITの仕事は、どんな中身だったのか
  • AIで、その仕事はどう変わりつつあるのか
  • これからの時代に、子どもにどんな力を育てておくとよいのか

子どもたちは、ITの仕事にどれくらい憧れているの?

IT職への憧れは中学生男子で最も強く、年齢と性別によって大きな差があります。

小学生:「動画」「ゲーム」など、デジタル上の表現者に憧れる

小学生では、ITエンジニアそのものはまだ上位には入りません。学研の調査では、小学生全体の1位は「ネット配信者」でした(スクールコンパス)。

ただ、デジタル系の職業をまとめてみると存在感は大きくなります。第一生命の2025年の調査では、「YouTuber」「ITエンジニア/プログラマー」「ゲームクリエイター」の合計が11.1%で、1位の「会社員」(15.9%)に迫りました。この3つは、保護者世代が子どもの頃にはランキング上位に入っていなかった職業です(第一生命)。

中学生男子:ITエンジニアが1位

ソニー生命の2026年の調査では、男子中学生のなりたい職業1位が「ITエンジニア・プログラマー」(12.0%)でした。前年の5位からの上昇で、2017年の調査開始以来2回目の1位です(ITmedia)。

選んだ理由には「自分の特技に合っている気がする」「ゲームが好きだから」といった声が挙がっています(ITmedia)。入口は「ゲームが好き」という気持ちであることが多いようです。

高校生:安定志向へ、それでもITは上位

高校生になると、男女とも1位は「公務員」になります。それでも男子の2位は「ITエンジニア・プログラマー」で、IT職の人気は続いています(ソニー生命)。

女の子は「ITの仕事がイメージできない」

女子中学生の1位は「歌手・俳優・声優などの芸能人」で、ITは上位に入っていません。

女の子の保護者を対象にした調査では、53%が「ITの仕事をイメージできない」と答えています。娘にプログラミングを習わせたい保護者は69%いる一方、IT・理系に興味がある子どもは27%にとどまりました(こどもとIT、ICT教育ニュース)。興味がないというより、仕事の中身が見えていないことが壁になっている可能性があります。

これまでのITの仕事は、どんな中身だった?

システム開発は、いくつかの工程に分かれ、工程ごとに担当者が分業するのが一般的でした。「プログラミング」は、その工程のひとつにすぎません。

工程 主な仕事の中身 主な担い手
要件定義 お客さんの困りごとを聞き、何を作るかを決める SE、PM、コンサルタント
設計 画面やデータ、処理の仕組みを「図面」にまとめる SE
実装 設計どおりにプログラム(コード)を書く プログラマー
テスト 正しく動くか確かめ、不具合を探す テスター、プログラマー
運用・保守 システムを見守り、トラブル対応や改修を行う インフラ・運用担当

キャリアの形も決まっていました。新人はまず実装やテストから入り、経験を積みながら設計、要件定義、チームのマネジメントへと進んでいく「はしご型」です。子どもが思い浮かべる「パソコンに向かってコードを書く人」は、主にこの入口の部分にあたります。

AIで、現場はどう変わった?

エンジニアにとってAIは、もう「試しに使う道具」ではなく「使うのが当たり前の前提」になっています。

エンジニア向けの調査では、AIで効率化を実感している人は2025年の88.9%から、2026年は96.7%に増えました(フリーランスボード)。別の調査でも、AI活用は一部の先進的な試みから、日々の開発の前提条件へと移ったと報告されています(LAPRAS)。

変わったのは作業のスピードだけではありません。国内の大手企業の事例では、プログラミング作業が7割削減され、エンジニアの役割が「コードを書く」から「AIの出力を監督・設計する」へ変わったと報告されています(AI Japan Index)。

これを工程ごとに見ると、変化の大きさには差があります。

工程 AIによる変化
要件定義 人の仕事として残り、むしろ重要度が増している
設計 AIが下書きをつくり、人が判断する形に
実装 最も大きく自動化が進んでいる
テスト テストコードの作成などは大幅に自動化
運用・保守 監視は自動化が進み、「自動化の仕組みを作る」仕事へ

運用の分野でも、クラウドの自動化やAIの導入で従来型の24時間監視は縮小しているとされます(アイティークロスメディア)。

これからのITの仕事、どうなる?3つの見方

AI時代のIT職については、悲観・楽観・変質の3つの見方があります。一見バラバラですが、実は同じ変化を別の角度から見ています。

見方①:若手の「入口」が減っている

最もデータの裏付けがあるのが、この見方です。スタンフォード大学の研究では、ソフトウェア開発などAIの影響を受けやすい職種で、22〜25歳の雇用が他の層に比べて13%減ったとされました(JBpress)。改訂版の分析では、その差は2026年6月時点で19%に広がっています(GIGAZINE)。

原因は解雇ではなく、新人の採用が減ったことです。一方で、35〜49歳の雇用は同じ職種でも増えていました(GIGAZINE)。

つまり、新人が担ってきた定型的なコード作成やテストをAIが肩代わりし、「はしごの一段目」が外れつつある、という見方です。

見方②:IT人材は、むしろ足りなくなる

逆に、需要は減らないという見方もあります。アメリカではテック企業の採用全体が25%減るなか、エンジニアの減少は11%にとどまり、初期のスタートアップでは採用が7%増えたというデータがあります(Yahoo!ニュース/ビジネス+IT)。

日本はさらに人手不足が深刻です。経済産業省の2040年の推計では、事務職で約440万人が余る一方、AI・ロボットを活用する人材は約340万人不足すると見込まれています(先端教育オンライン)。仕事が減るのは、ITよりも事務の側だという見方です。

見方③:仕事は残るが、求められる力が変わる

現場の実感に最も近いのが、この見方です。エンジニア自身の意識調査でも、「ビジネス理解」を重視する人が7割を超えています(LAPRAS)。

今後のエンジニアに共通して求められるのは、技術の幅を広げることと、「何を作るか決める」上流工程の力だとされます(アイティークロスメディア)。

3つを合わせると、見えてくるのは次のような姿です。

  • 「コードを書く作業」そのものの価値は下がっていく
  • 「何を作るべきか決める」「AIが作ったものが正しいか見抜く」「仕事と技術をつなぐ」力の価値は上がっていく
  • 仕事の総量が減るというより、はしごの下の段が外れ、上の段が残っている

子どもに育てておきたい力と、家庭でできること

ここで気になるのが、子どもの憧れと実際の仕事とのずれです。子どもが思い描く「ゲームが好きで、コードを書く人」は、まさにAIに置き換わりつつある部分にあたります。

だからといって、プログラミングを学ぶ意味がなくなるわけではありません。大切なのは、コードの書き方そのものより、その先にある次のような力です。

育てたい力 どんな力か 家庭でできること
困りごとを見つける力 身の回りの「不便」に気づき、言葉にする 「これ、もっと楽にできないかな?」と一緒に話してみる
作るものを決める力 誰のために、何を作るかを考える ゲームを遊ぶだけでなく「自分ならどう作る?」と聞いてみる
疑って確かめる力 AIやネットの答えが正しいか検証する AIの答えを一緒に調べ直し、間違いを探してみる
伝える・つなぐ力 自分の考えを人に説明し、協力して形にする 作ったものを家族に発表してもらう

特に女の子の場合は、「ITで誰の、どんな困りごとを解決しているのか」という具体例に触れることが、興味の入口になりそうです。身近なアプリやサービスを題材に、「これを作った人は、何を考えていたんだろう?」と話してみるだけでも、ITの仕事の見え方は変わります。

AIによって新人の「はしごの一段目」が減るのであれば、その経験の代わりを、子どものうちに遊びや体験として積んでおく。これが、AI時代のIT教育で大切な視点ではないでしょうか。

まとめ

ITの仕事はAI時代になってもなくならず、むしろ人手は足りなくなると見られています。ただし、求められる力は「コードを書く力」から「何を作るか決め、AIを使いこなし、正しさを見抜く力」へと移りつつあります。

子どもの「ITの仕事がしたい」という気持ちは、大切に育てたい芽です。その芽を、「ゲームが好き」から「誰かの困りごとを、技術で解決したい」へと少しずつ広げていく。家庭でのちょっとした会話が、そのきっかけになるはずです。

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